仕事の悩み相談
ある悩みのケース(架空)
Aさん/41歳/男性/会社員(課長)/都内近郊に一戸建て(持ち家)/妻、中学1年生、高校1年生の子供の4人暮らし。
4年制大学を卒業後、大手電機メーカーに就職。同期の女性と入籍し子供を授かる。都内近郊に35年ローンで念願の持ち家を購入。子供2人は公立に通っているが、2人とも大学進学を希望しており、自分が親にしてもらったように学費は出してあげたいと考えている。 最近、同期が部長に昇進した。一緒に頑張ってきた仲間なので祝福の気持ちはあるが、自分が出世コースから外れたとも感じており、社内での昇進の限界を感じ、仕事へのやり甲斐や意義を見失いかけている。仕事は家族のため、生活のためにしている感覚が強い。 転職も考えたが自分は社外で通用しないのではとも思い、毎日モヤモヤしながら働いていて、今後どうしたらいいかわからない。 |
架空のケースですが、もし、あなたがAさんだったらどうしますか?
中高年はつらいよ
20代~30代前半までは前だけを見て進んできたと思いますが、30代半ばくらいからは、Aさんのように昇進の限界など、仕事上での限界を感じて悩む人が多いです。僕自身も同様の時期を過ごして辛い思いをしましたが、こういった悩みは理論化されている「誰しもが通る道」なのです。
心理学者であるダニエル・レビンソンは、人生を四季に例えライフサイクル理論を提唱しました。
そして40歳~45歳を下記と定義しました。
人生半ばの過渡期
自分らしさの模索・葛藤を通じて、真の自分として生きることを決断する時期。自分の生活のほとんどあらゆる面に疑問を抱き、もうこれまでのようにはやっていけないと感じ、新しい道を切り開くか、これまでの道を修正するのに数年を要する。
肉体、生活環境に変化。40年で確立した自己が崩壊する恐怖感を無意識に感じる。価値観崩壊。
僕の場合、外部環境の影響で今までの仕事や立場が一瞬で無くなり、役割や立場が大きく変化しました。
それに伴い年収も150万円以上大幅にダウンし、仕事も生活も先行きがまったく見えなくなり「目の前が真っ暗」という表現がぴったりの状況を経験しました。長い長い真っ暗なトンネルの中を、進むべき方向もわからないまま手探りで進む――そんな日々を過ごしたのです。
人材系コンサルタントのウィリアム・ブリッジスが唱えたトランジション理論では、仕事上の個人の内面に起こる変化を三段階のモデル(終焉~中立圏~開始)で示しました。
終焉(何かが終わる時)は、今まで携わっていた世界と強制的に引き離された悲しみと怒り、自分が何者なのか、どの方向へ進むべきなのか、どうしたらいいかわからない――非常にきつく辛い毎日です。きつく辛い毎日ですが、自分の中で答えを見つけて過去と決別することが必要です。
中立圏(ニュートラルゾーン)では、自分と向き合う時間が多かったように思えます。ブリッジスはニュートラルゾーンを乗り切るために6つの行動を勧めています。
- 一人になる特定の時間と場所を確保する
- 中立圏(ニュートラルゾーン)の体験の記録をつける
- 自叙伝を書くために一休みする
- この機会に、本当にやりたいことを見出す
- もしいま死んだら、心残りは何かを考える
- 数日間、自分なりの通過儀礼を体験する
この終焉~中立圏をどのように向き合う(味わう)かがポイントです。
@ITの記事(ブリッジズ氏の過渡期を乗り切るトランジション理論)がわかりやすかったので、紹介した本と合わせてご覧になってください。僕の実体験からも、特に中高年世代には大切な理論だと感じています。